雲取山
雲取山周辺地形図  
 この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッ
 シュ(標高)を使用したものである。(承認番号 平19総使、第512号)
 
 
 2007/2/3
(快晴)
 
7:44 小袖登山口 760m 13:38 雲取山山頂 2017m
9:05 登り尾根の水場        
9:40 堂所 1230m      
   (小休止 15分)        
10:48 七ツ石山への分岐            総時間:5時間54分
12:23 奥多摩小屋 1760m        (歩行時間:5時間24分)
   (小休止 15分)        
 山頂に立ち、目の前に広がる雄大な景色を心ゆくまで愉しむ・・・登山をやってて良かったと心から思える至福の時間です。しかし、日帰り登山であれば日が暮れる前に山を降りる必要がありますし、縦走登山でも道半ばの山頂にいつまでも留まっていられないのが現実のところ。なかなか心ゆくまでとはいかないものです。
 
 2年前に登った雲取山。この日は好天に恵まれて、山頂からの景色は本当に素晴らしいものでした。その時は雲取山荘で幕営予定だったので、後ろ髪を引かれながらも山頂を後にしたのですが、ここから眺める夕日や夜景はどんなに感動的だろうかと思ったものです。しかし、この雲取山には、そんな登山者の夢を叶える施設が山頂に建っていたりします。雲取山避難小屋、次来るときは絶対ここに泊まろうと決めていました。
 
 新しい年がスタートして早くも1ヶ月が過ぎた2月のはじめ、天気予報を見ると週末は久々に晴れマーク。先月雪山デビューを果たしたこともあり、どこか訓練に適した山はないかと探していたときに思いついたのが雲取山でした。小屋泊まりではありますが、必要な水や冬用のシュラフなんかを詰め込むとザックは一杯。久しぶりに重い荷物を抱えての登山となりました。
 
 
 @ 小袖登山口
 本日は朝4時に起床。一路、鴨沢へと向かいます。以前訪れたときは、鴨沢の集落から歩き始めましたが、今回は林道をさかのぼって小袖登山口までショートカットするつもりです。
 
 到着すると、登山口に近いところは既に車で一杯。少し戻った路肩に車を止めて準備を整えます。天気は上々。山頂では目論見通りの展望が期待できそうです。
 
小袖登山口
小袖登山口
冬枯れた林
冬枯れた林間の道
 
 今でも耕作されているらしい畑を過ぎ、登山道は自然林と植林を交互に交えながら緩やかに登っていきます。
 
 2年前に来たときは緑濃い印象の登山道でしたが、今回はすっかり葉を落とし、冬の弱々しい光が木々の間から控えめに差し込んでいました。
 
 
 
 A 登り尾根の水場
 
 歩いていると感じられませんが、陽光が遮られるためか、杉の植林の中は一段と気温が低いようです。見ると、登山道の表土がそのまま板状に凍りついて地面から浮き上がっています。
 
 試しに乗っても崩れないくらいにカチカチ。水たまりや山水が路上で凍りついているのはよく見かけますが、地面がそのまま氷結しているのは初めて見ます。おかげで道はひどい有様。このぶんだと、夜はだいぶ冷え込みそうです。
 
凍りついた地面
凍りついた地面
登り尾根の水場
登り尾根の水場
 程なくして登り尾根の水場に到着。以前は水場の水が登山道に流れてぬかるみをつくっていましたが、地面の下にホースを通し、谷へ流すように改善されていました。
 
 切れるように冷たい水を一口。登山口から1時間半、休憩ポイントとしては丁度いい所です。
 
 
 
 B 堂所
 
 水場を過ぎたあたりから、登山道には白いものが目立つようになってきました。しかも、ガチガチツルツルの完全アイスバーン。一応、登山道脇の踏み固められていない雪の上なら滑らず歩けそうですが・・・・。
 
 困ったことに、雪の無いところと凍ったところが交互に現われ、アイゼンの着用を迷わせます。
 
薄く雪を被った登山道
薄く雪を被った登山道
堂所
堂所
 結局、迷っているうちにアイゼン未装着のまま堂所まで来てしまいました。
 
 転ばぬ先の杖とは言いますが、携帯してきた12本爪のアイゼンを履くにはちょっと大袈裟な気も・・・・今日くらいなら軽アイゼンで十分だったようです。
 
 堂所には少し開けたところがあり、持って来た菓子パンで小腹を満たします。
 
 落雷でも受けたかのような立ち木が一本。もたれかかって上空を見上げると、そこには澄んだ青い空が広がっていました。
 
 この季節ならではのクリアな視界。予報通りの晴天で、今日は随分混雑するだろうと思っていましたが、登山口からここまでずっと一人旅が続いています。思いもかけず、静かな山行が楽しめそうです。
 
堂所
雪の広場で休憩
 
 
 C 七ツ石山への分岐 〜 D 奥多摩小屋
 
 
凍りついた登山道
凍りついた登山道
 
 ここまで比較的なだらかだった登山道ですが、堂所をすぎたあたりから徐々に傾斜がきつくなってきました。
 
 日が当たらない樹林の中では、積もった雪が凍結融解を繰り返してまるで鏡のようになっています。しばらくの間、登山靴で氷の急坂と格闘していましたが、ここであきらめてアイゼンを装着。着けてみると比較にならないくらい歩きやすい。なんだ、もっと早く着ければよかった。
 
 七ツ石山への分岐は巻き道を選択。七ツ石山には以前登っているので、今回は別の道を通ってみました。まあ、実際には堂所からの登りに少々バテ気味で回避したというのが正直なところではありますが(^_^;) やはり、空身の日帰り登山と重荷を担いでの山行では勝手が大分違うようです。
 
 巻き道は最初少し登りがありますが、ブナ坂までほぼ水平に道がつけられています。日々運動不足の身にも優しい登山道でした。
 
ブナ坂
ブナ坂
石尾根
石尾根
 ブナ坂で石尾根の登山道と合流。ここからは気持ちのいい稜線歩きが始まります。
 
 ここでも雪は登山道の周辺に残っているだけ。雪の稜線を歩くつもりだったので少し残念です。しかし、天気は狙い通りの快晴で、左に目をやると奥多摩の山並みの向こうに遠く南アルプスの稜線がくっきりと浮かびあがっていました。
 
 
 
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南アルプス遠景
 
 
 登山口から4時間半。重い荷物が肩に食い込み、いくらか疲労も感じます。この肩の痛みも重い足取りも、確かな現実なのですが・・・、一方で、目の前に広がる静寂の景色、肌で感じる冷たい空気はなんとも非日常的で現実離れした世界。山では時として夢か現実か、とても曖昧な不思議な感覚に包まれることがあります。傾斜のほとんどない石尾根は、体力不足の自分にも、そんな感覚を楽しむ余裕を与えてくれるようです。
 
 疲れた足を引きずって奥多摩小屋に到着。ここまで来たら山頂まで1時間。あと、もう少し。
 
奥多摩小屋
奥多摩小屋
 
 E 雲取山
 
 奥多摩小屋の先には前回苦戦した急坂が控えています。頑張って登った先には素晴らしい景色が待っているのですが・・・・・今回は巻き道を選択。なんだか回避してばっかりな気もしますが、一度通っているので良しとしておきます。
 
 こちらは、樹林の中をほとんど水平に道がつけられており、拍子抜けするくらいあっさりと小雲取山直下までたどり着くことが出来ました。
 
巻き道
巻き道で急坂を回避
雲取山へと続く道
山頂へ延びる道
 小雲取山の斜面を登りきると、目指す山頂はもう目と鼻の先。真っ直ぐ延びる登山道の向こうには、本日の宿となる避難小屋も確認できます。長い道のりも、あそこでお終い。そう思うと少し寂しい気がしてくるから不思議なものです。
 
 登山口から6時間弱。ショートカットを多用した割りには時間がかかっていますが、なんとか山頂に到着。疲れた〜。
 
 写真は雲取山避難小屋。ログハウス風の綺麗な建物です。混雑具合はどのくらいだろうと、恐る恐る避難小屋の扉を開けてみると、中には男性が一人だけ。あれ??
 
雲取山避難小屋
雲取山避難小屋
 
 
 男性と挨拶を交わして、窓際に寝床を確保。この男性の話では、「毎年この時期に登っているけど、こんなに空いているのは初めて」とのこと。混む時には、土間しか空いてないくらい混むそうなので本当ラッキーです。
 
 
 
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 外に出て、山頂からの景色を独り占め。風も無く、ぼんやりと景色を眺めるには最高のコンディションで、写真を撮るのも忘れて景色に見入ってしまいました。どのくらいたったでしょうか、背後に気配を感じて振り向くと・・・・・
 
 
鹿
 
 
 なんとすぐ後ろの斜面に、こちらをじっと見つめる鹿の姿が。
 
 人慣れしているのか、じっと見つめ返しても逃げる様子はありません。丹沢などでも良く出会うことはありますが、こんなに堂々としている姿は初めてです。
 
鹿
山頂で出会った鹿
鹿
警戒している様子
 時折こちらを見つめ警戒する素振りを見せますが、すぐに私の存在など無かったかのように山頂をウロウロ。結局30分以上も傍にいたでしょうか。
 
 林の向こうにその姿が見えなくなるまで、思いもかけず一人と一匹の奇妙な山頂となりました。
 
 
 
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 避難小屋に戻って、日が沈むまでのんびり。夕食の準備をしている間に、中年夫婦と単独の男性が小屋に到着。今日の同宿は、どうやらこの5人になりそうです。フリーズドライのリゾットとシチューを平らげて外に出てみると、ちょうど飛龍山の向こうに日が沈もうとしているところでした。
 
 
夕日
 石尾根にも夕日が射し込み、残雪を淡く染め上げます。
 
 
石尾根夕景
 
 
 
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 今日は雲一つ無い夕景。西の空はあくまでも淡く、そしてゆっくり、闇と置き換わっていきます。
 
 
夜へ
 
 
 
 気づけば辺りは夜の暗闇が支配し、空には満点の星。遠く、街の灯りが冷たい空気の中で煌いていました。
 
 
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 ランプの灯りを消し、シュラフに潜り込んでウトウトしはじめた時のこと、突然、頭の近くをトコトコと何かが走り回る音が!
 (夢・・・かな?) 少し緊張して自然と体が強張ります。
 
 暗闇に向かって目を凝らしていると・・・・・再びトコトコという音! と共に小さな影が視界を横切りました。隣で寝ていた男性が急にヘッドランプを点けて荷物の確認。「やられた」と小声で呟く。
 
 私もここに至ってようやく音の正体に思い当たりました。そう、小さな影は小屋に住み着いているネズミ。避難小屋には出ると聞いていましたが、実物はなかなか元気な奴らです。お隣は夕食の残りでもかじられたのでしょう。(うーん、夕食くらいならいいけど、寝てる間に鼻をかじったりしないだろうね)なんだか少し心配です。
 
 それからしばらくはネズミの大運動会でしたが、零時前にはネズミもねぐらに引き上げたと見え、夜中に目が覚めたときには風の音が聞こえるのみでした。
 
 
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        雲取山 訪問 2007/2/3
            登録 2008/6/30