守屋山(もりやさん)
守屋山周辺地形図  
この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図25000(地図画像)及び数値地図50mメッシュ(標高)
を使用したものである。(承認番号 平19総使、第512号)
 
 
 
 
 2007/4/5
(晴れ)
 
   7:18 守屋山登山口         
   8:00 分杭平         
   8:52 守屋山東峰(休憩23分)         
   9:28 守屋山西峰(休憩32分) 1650.3m       
  10:18 守屋山東峰(休憩41分)        総時間:4時間30分  
  11:48 物部守屋神社      (歩行時間:2時間54分)  
 
 
 
 春の訪れはまだまだ遠く、4月になってもすっきりとしない空模様が続いていましたが、4日には真冬並みの寒気が入り込んで肌寒い一日となりました。しかし、その寒気も翌日の朝には日本の東に抜ける模様。久しぶりに日差しが眩しい一日となりそうですが、そんな日にも仕事というのが社会人の辛いところです。悪いことに週末には天気が崩れるみたいなので、明日は好天が期待できる久しぶりのチャンスなのですが……さて、どうしたものか。こうなるといつもの手段の有給休暇。普段忘れがちな制度を強行して、久しぶりの平日登山を楽しむことにしました。
 
 そうと決まれば何処へ登ろうか。あれこれ調べているうち目にとまったのが長野県の守屋山。守屋山は田中澄江さんの『花の百名山』でも有名な山で、今の季節はちょうどザゼンソウが花期を迎えているはずです。花の状況までは確認できませんでしたが、期待を込めて目的地は守屋山に決定しました。
 
 
@ 登山口
 
 
 夜の高速をひた走り、登山口の杖突峠に到着したのは夜明け前。大きな駐車場に車を止めて日が昇るまでしばしの仮眠です。すっかり明るくなってから寝ぼけ眼で辺りの様子を伺うと……うーん、何かがおかしいような?
 
 よくよく見ると、周囲の建物の屋根が眩しいくらいに真っ白。一瞬、白い屋根なのかなとも思いましたが間違いなく雪です。感じからすると昨日積もったばかりの新雪だと思いますが、まさかこの季節の低山で雪が降るとは思いませんでした。今年は暖冬で少雪だったくせに全く気まぐれな天気です。
 
 
駐車場
登山口の駐車場
登山口
守屋山登山口
 
 念のため持ってきていた軽アイゼンをザックに放り込み登山口に向かったのが7時すぎ。駐車場や道路の雪は日の出と共に融けてしまいましたが、登山道の上にはうっすらと残ったままです。雪の上には真新しい足跡が一つ。駐車場には車がもう一台止まっていたのでその持ち主のものでしょうか。さすがに平日だけあって他に人の気配もなく、どうやら終日静かな山歩きになりそうです。
 
 
 
 歩き始めは唐松林の中の急坂。しばらくすると左手に車道が見え始め、これと並行するような形で登山道がつけられています。車道には轍がしっかりついているので、もしかすると、この先の分杭平まで車が入れるのかもしれません。だとしたらなんだかちょっと損した気も。
 
 少し進んだ先で車道を横断。道の脇には何故かモンゴル式住居のパオが建っています。守屋山とモンゴルにいったい何の関係があるのか分りませんが、シーズン中はコテージとしてでも使われるのでしょうか?
 
 
道路を横切る
道路を横切る
 
A 分杭平
 
 
 車道を離れて林の中へ入ると周囲はようやく山道らしい雰囲気に。葉を落とした木々の中を縫うようにして登山道が延び、抜けるような青空の下で新雪の白さも一段と際立って見えます。雪を踏む自分の足音のみが響く、本当に寂かな山歩き。時折、周囲の森にタタタッというキツツキの木を叩く音が木霊します。これなら登山口から歩いてきた甲斐があったかな。
 
 
林道
再び林の中へ
座禅草コース
座禅草コース分岐
 
 しばらく進んだあとで林道が合流。道路を横切った先にある座禅草コースの案内板に従って左手の斜面を下ります。ここまで、コース上には案内標識も多く途中で迷うようなことはなさそうです。守屋山はいつもお世話になっている『山と高原地図』がエリアをサポートしていないので登山道の状況に少し不安もありましたが、良く整備されているようで安心しました。
 
 
 
 下った先には木道が整備されていて、ここが座禅草の群落地……のはずなのですが、一面雪に覆われていて花の影すら見当たりません。うーむ、花の時期には早すぎたのでしょうか? 未練がましくあちこち探してみましたが、やっぱり咲いてないものは無い。自然相手では良くある事ですが、期待していただけにかなりがっかりです。
 
 
分杭平
分杭平 座禅草群生地
 
B 守屋山東峰
 
 
笹の斜面
笹の斜面
 
 花には振られてしまいましたが、ここでずっと落胆している訳にもいきません。お目当ての座禅草が咲いてない以上、気持ちを切り替えて後は山頂を目指すのみです。
 
 分杭平を過ぎると登山道は緩い笹原の斜面へ。山頂へ向けて徐々に尾根を登っていきますが、この辺りは傾斜も緩く体力的にはまだまだ余裕があります。
 
 上を見上げるとカラマツの枝に霧氷がびっしり。昨日はよほど冷え込んだのでしょう。真冬の樹氷と違って透明感があり、まるでガラス細工のようです。こんなに綺麗な霧氷は初めて見ました。
 
 
 
 緩い斜面を登った先にあるのが胸突坂。ここからは暫くのあいだ急な斜面が続きます。木の根元には胸突坂と書かれたお手製の案内板。「がんばれ ここは胸突坂 東峰まであと10分」
 
 
胸突坂
胸突坂
霧氷
霧氷のシャワー
 
 少し息を切らせて登っていると、周囲に響くサラサラという音。見上げると朝日に照らされた霧氷が少しずつ融け、氷の欠片がパラパラと落下してくるのが見えます。
 
 それまで微妙なバランスで留まっていたかのように、一度融け始めると勢いをまして降り注ぐ氷の欠片。まるで霧氷のシャワーのようです。陽を浴びてキラキラと輝くその光景に思わず見とれてしまいました。
 
 
 
 霧氷降るなか急坂を登っていくと、雪の下に半分埋もれた鎖場も。鎖に頼るほどでもありませんが、全体的に穏やかなこのコースの中にあって、ようやく少し登山らしい気分にさせてくれます。
 
 
守屋山東峰へ
東峰山頂が見えてきた
 
 
 鎖場を過ぎると登山道はまた穏やかな様相に。しばらく稜線を行くと目の前の樹木が途切れ、青空の下にたおやかな山頂が見えてきました。山麓から1時間半ほど、守屋山の東峰に到着です。
 
 
 
 
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守屋山東峰からの展望(西〜北〜東側)
守屋山東峰から西〜北〜東側の展望(画像クリックで拡大)
 
 
 うーん、すごい! 山頂からの景色は思わず歓声が飛び出すほどの大展望。八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、北アルプス……。日本の主だった山々をぐるっとひと巡り。なんとも贅沢な眺めです。座禅草は残念でしたが、これならわざわざ来た甲斐がありました。
 
 
 
C 守屋山西峰
 
 
 東峰山頂には山麓にある物部守屋神社の奥宮が鎮座しています。何故か檻に入れられていて不思議に思っていたのですが、この先にある避難小屋の案内文を読んでスッキリ。
 
【鉄柵に囲われた石祠】
 
 奥宮の石祠は鉄柵に囲われている。これは、祠を谷底へ突き落として雨を乞うという荒業が昭和40年代まで行われてきて、そのたびに復旧に費やす労苦と、当局に訴え出ても埒があかないことに業を煮やした里人が、動かせないよう封じ込めてしまったのだという。
 
 
守屋神社 奥宮
守屋神社 奥宮
避難小屋 ラビット・ハウス
避難小屋 ラビット・ハウス
 
 しばらくすると一人の男性が登ってきて、言われるままに写真をパシャり。この方は景色もそこそこ「お先に失礼」と足早に西峰へ去って行きました。自分も山頂からの景色をもう少しだけ眺めてから西峰へ。
 
 
 
 東峰から西峰の間は樹林の中の穏やかな道。西峰直下にはラビットハウスと言う名の避難小屋も建てられています。外見はかなりみすぼらしい避難小屋ですが、中は意外にも綺麗。ウサギの人形や手製のパノラマ図まであって、なんだかほっとする空間です。
 
 
避難小屋内部
避難小屋の中は綺麗
西峰へ
守屋山西峰へ
 
 道はアップダウンも少なく、登山というより散歩気分。この辺りは白樺に混じってブナの木も多く、朝日の射し込む冬枯れた森には、この季節ならではの清々しい味わいがあります。
 
 避難小屋を過ぎると山頂までは目と鼻の先。東峰から15分、守屋山の西峰に到着です。
 
 
 
 
 
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守屋山西峰からの展望(東〜南〜西側)
守屋山西峰から東〜南〜西側の展望(画像クリックで拡大)
 
 
 こちらも展望は抜群。東峰からは山の陰に隠れていた中央アルプスも綺麗に見えます。山頂の案内板によると、ここ守屋山は『日本展望の山100山』の中の一つなんだそうです。そんな100選もあるんですね。なんと、日本百名山のうち33座がここから見渡せるそうです。
 
 
 
 山頂には東峰で出会った男性が一人だけ。今日は本当に静かな山行です。結局、駐車場から続いていた足跡の主に出会うことはありませんでした。
 
 男性に頼まれて、また写真をパシャり。聞くと、定年を迎えて悠々自適に山歩きを楽しんでいるそうで、三百名山を既に二百座、去年だけで北海道の山に6回も登っているんだそうです。北海道かぁ……次に長期の休みが取れるのはいったい何年先だろう。
 
 
守屋山西峰
守屋山西峰
 
 それにしてもいい天気。今日は空気も澄んでいて遠くの山までハッキリと見通すことができます。聞こえてくるのは風の音だけ。男性が下山したあとは、ずっと独りの山頂です。それにしても、山頂で何があるという訳でもないのに、こんなに気分がいいのはなぜなのでしょうか? 今日はここに来て本当に正解でした。長期の休みはとれそうにありませんが、ひとまずこれで良しとしておきましょう。
 
 
 
D 物部守屋神社
 
 
 しばらく山頂からの景色を独占していましたが、次に登って来たのは老夫婦。カメラと三脚を取り出し撮影に余念がない様子です。その後は女性4人組みがやってきて、俄かににぎやかになった山頂をあとにしました。
 
 
守屋神社コースへ
守屋神社コースへ
三笠山刀利天宮
三笠山刀利天宮
 
 下山は神社コースへ。いったん東峰直下まで引き返し、分岐している登山道を降ります。はじめは結構な急坂。杖突峠から山頂まではカラマツの林の中を登ってきましたが、この辺りは常緑の赤松林。行きとはまたちょっと違った雰囲気です。気温も少し上がってきたようで、陽だまりの中を気持ちよく下山。
 
 
 
 しばらく進んだところで登山道が分岐。「御手洗の水」と書かれた手製の案内板があって、どうやらこの先に水場があるようです。少し惹かれましたが、この山域は不案内なので今回は素通り。
 
 それにしても、道中には石仏なども安置されていて登山道というより参道といった感じです。守屋山へは杖突峠から登るのが一般的なようですが、こちらの方が歴史ある道なのかもしれません。巨石や奇木の類も多く、「○○石」とか「腰掛松」とか色々名づけられていました。
 
 
鳥居
鳥居
物部守屋神社
物部守屋神社
 
 だいぶ下ったところに石の鳥居。ここから立石への下山道も分岐していますが、直進すれば守屋神社です。本日の山歩きもここで終了。そう思うとちょっぴり名残惜しい気持ちがします。小さな神社に祀られている守屋の神に本日の山行のお礼を言って守屋山を後にしました。
 
 
 
 
 
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座禅草
座禅草
 
 峠に戻ると積もっていた雪はすっかり融けてなくなっていました。
 
 本日唯一の心残りは座禅草。もしかして急に降った雪に隠れて見えなかっただけでは? なんとなくそんな気がして車で分杭平まで行ってみると……やっぱり咲いてる! 雪の影響か少々痛んではいますが、間違いなく座禅草です。初めて見ましたが何ともユニークな姿。一度は落胆させられただけに、本当に興奮しました。
 
 ただ、群落という割りには数が少ない。下山してきた方のお話によれば、数年前からイノシシの食害にあって数が急激に減っているのだそうです。座禅草もサトイモ科の植物なので球根は美味しいのかもしれません。最近、座禅草に限らず「昔はもっと凄かった」みたいな話を年配の登山者の方からよく聞くようになりました。守屋山の座禅草もたとえかつての規模ではないにしろ、いつまでも咲き続けてくれればいいのですが。
 
 
 
 
 
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             守屋山 訪問
2007/4/5  
                 登録
2011/10/2